本ブログの更新は停止しています。更新は新しいサイトの Travellers Tales で行なっています。

訴訟に勝ってイメージを落とす松下電器


2月の頭に松下の特許を侵害しているとしてジャストシステムが敗訴しましたが、その特許の内容を見た人は、こんなもので訴えるなんてせこいと思ったのではないでしょうか。そうしたら案の定、松下製品不買運動が起きています。

松下電器産業製品不買運動《ヘルプアイコン特許》

特許の内容が素晴らしく独創的なものなら堂々と訴えればよいですが、とてもそのようなものとは思えません。しかも、松下が現在使っていて、自社製品に死活的な技術というわけでもないですし。

Mac のバルーンヘルプで System 6 の頃から既知の技術だと、Mac ユーザの立場からの指摘をしているページもあります。(付けられたコメントを読んでみると、まったく同じというわけではないようですが)

昨日と今日 - Macユーザーとして松下電器に抗議する

以下は、がんばれ!!ゲイツ君番外編83からの引用ですが、松下は、あの Linux 訴訟で悪名高い SCO 並みと言われてもしょうがないでしょう。(Travellers Tale 内の関連記事:SCO 根拠なし - UNIX 訴訟)

ちょっと前の話題になりますが、東京地裁が一太郎と花子の製造販売の停止の判決を出したことがかなり話題になりましたね。
この特許の内容は、Windowsにあるバルーンヘルプ機能そのものですし、そもそもWindowsなんてものより前にワープロでも使われていたはずのものなんですが(^^;、まさかこんなもので特許を主張して金を取ろうなんて本気で考えていたとは思いませんでした。松下も他にもっとやることが無いんですかね。
「企業は利益を追求するだけではなく、社会に積極的に貢献すべき存在である」とは故松下幸之助氏の有名な言葉ですが、この会社は創業者の崇高な精神など今やすっかり忘れてどうでも良い技術に権利を主張してソフトハウスを虐めるしか脳のない会社になってしまったようです。
と思っていたら、予想通り松下製品の不買運動が起きているようですね。まぁ別に松下に限ったことでは無いですが、自分のやることが社会の発展のために益があることなのか、それとも逆に阻害しているのかを常に考えて行動してもらいたいものです。これだと松下はあのSCO並ですよね。結果的にこの会社も企業イメージが大幅に低下してしまってもう取り返しが付かないかもしれませんが。

2月19日追記
その後検索してみたら、いろいろ書かれてますね。いくつかを紹介しておきます。

CNET Japan Blog - 江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance:「一太郎」訴訟にみるソフトウェア特許のぶざまな現状
特許とは特定企業の知的所有権をめぐる私益を何でもかんでも保護するためのものでは断じてない。

特許法第1条には、このように趣旨が書かれている。
この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与する ことを目的とする。

特許は、守らねば潰されてしまうような個人や弱い立場の企業を保護し、発明を奨励することで、最終的に産業全体が活性化しますようにという期待を込めて、そのための手段として誕生したのではなかったか。

しかし現行の特許制度は、その弱者の立場にある当事者として言わせていただくが、もはや正反対の意味合いしか持ち得ていない。

「松下電器がジャストシステムをひねりつぶしたら産業全体が活性化されるんですか?」という質問ひとつで原理的な矛盾が導かれそうなものだが、どうもそういう明晰な議論はどこにも見えない。

13Hz!: 時代遅れ、松下のソフトウェア知財戦略

こんな中、読売新聞がハッピーな社説を出している。

[『一太郎』敗訴]「『知財』利用に一石を投じた判決」 (読売新聞)
パソコン開発が始まったころは、多くのソフトが自由に利用され、改良も可能だった。それが、この分野の急速な発展を支えてきた。現在でも、OSの「リナックス」のように公開で改良が進み、利用が拡大しているソフトもある。

しかし、ソフトが巨額の富を生む時代だ。リナックスなどは例外と考えなくてはいけない。

こんな社説を書くから社説のレベルを疑われるんだよね‥‥。

Linuxが例外なのではない。マイクロソフトが唯一の例外なのだ。そして、ビジネスにおける「一番勝ちの総取り」法則によって、第二のマイクロソフトというのはありえない。そればかりかそのマイクロソフトでさえ、特許においてはマイナスのダメージを受けている。

これらを考えれば松下の知財戦略が、少なくともソフトウェア方面においては大きな失敗をもたらす可能性が高いことは明らかだろう。

Posted: 火 - 2月 15, 2005 at 01:07 AM               Hatena Bookmark



©