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チェチェン人はいなかった? - 北オセチア共和国学校占拠事件4


最近この件に関するエントリばかりですが、また興味深い記事を見つけたので・・・。

まず軍事アナリストの神浦元彰氏のサイトに寄せられたメールの情報からですが、
こんにちは。東京の00です。 ロシアの件では、報道がどうしても「チェチェン」と「アルカイダ」に 結び付けたものが多く、不思議な感じがします。

チェチェン独立派がしたという事実も出てこないですし、交渉のうえ20数人解放させた医師のBBCによるインタビューでは、「チェチェン人はいなかった」と話したと報道されていることもあり、その前提だけでも大変、違和感があります

わざわざ嘘をつく必要があるとも思えませんから、信憑性があるように思えます。また、カフカス・センターの所長も犯人の中にチェチェン人がいなかったと答えています。(該当記事)
ウエッブ・カフカス・センター所長ヴィサミ・ツツジェフ氏はエル・ムンド紙への独占インタビューの中で北オセチアの人質事件とチェチェン紛争について語った。
(中略)
(Q.) 犯人は誰だったのでしょうか? またチェチェンに何を見なければならないのでしょうか?
(A.) 私は学校を占拠した者が誰だか知りません。しかし「誰ではないか」については正確に申し上げることができます。彼らの中にはチェチェン人はいません。このことはイングース【チェチェンと北オセチアの間にある自治共和国:訳注】の元大統領ルサン・アウシェフ【ロシア軍の穏健派の将軍:訳注】が明言しています。彼は犯人たちと交渉して31名の夫人と子供を解放させたのです。確実な情報源によれば、ロシア当局者によっても間接的に確かめられるのですが、武装グループはロシア人とオセチア人です。

該当する BBC の記事は以下のようです。

Earlier, Mr Maskhadov's envoy in Europe, Ahmed Zakayev, said he had been told by the former Ingush leader, Ruslan Aushev, who tried to negotiate an end to the crisis, that the hostage takers were not themselves Chechen.

Interestingly, the Kommersant newspaper on Friday lent some support to this theory, saying investigators suspected that the ringleaders - or at least those who took part in the negotiations - were Magomet Yevloyev (an ethnic Ingush fighter close to Basayev), Vladimir Khodov (from North Ossetia) and an unnamed Russian, possibly one of Basayev's bodyguards.

If it turns out to be true that Chechens were not running the Beslan operation on the ground, this will be a new development.

この時点の BBC は断定するのを避けてはいますが、犯人がチェチェン人ではなかった可能性も否めません。いずれにせよ、ロシア当局による情報操作がかなり行われているのは確かです。

犯人は人質に水も与えずにひどい、という意見も見ましたが、実際には最初は水を飲むことを許していたそうです。それが途中から水を与えなくなったのは、ロシア当局に交渉を早々に打ち切られたためではないかというわけです。

実際、ロシア当局は交渉する気は余りなかったのではと思います。モスクワ劇場占拠事件のときも、プーチン大統領は事件発生直後に強行突入を決めていたということが、音声なし映像からの唇の動きの解析で明らかになっているようです (参照元)。最初から交渉するつもりはなかったわけです。ましてやモスクワから遠く離れた北オセチア共和国での事件です。交渉する気があったとは思えません。

ロシアはこうやってボロが出てくるだけましなのかもしれません。対テロ戦争と称して、アフガンやイクラでの戦争を続けるアメリカは、もっと巧妙にわかりにくく情報をコントロールしていると思います。それでも丁寧に、かつ継続的に情報を追っていれば、いろいろと不自然なことが出てきます。毎日あふれては消えていく情報に惑わされないで、自分の目を持つことが大切と思います。

Posted: 金 - 9月 10, 2004 at 04:00 AM               Hatena Bookmark



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