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ダイオキシンで毒殺の嘘


ウクライナ大統領選・野党候補のユシチェンコ元首相が、ダイオキシンで毒殺されかけたと言ってるみたいですが (参照:asahi.com 記事など)、かなり疑わしいですね。ダイオキシンの急性毒性は眉唾ものです。今まででダイオキシンで死んだとされている人は4人しかいないそうです。毒殺するならもっと確実なものを選ぶでしょう。

ユシチェンコ氏の顔はだいぶ変形していますから、自作自演とまでは言いませんが、野党側を有利にするための何らかの策略の可能性は高いと思います。また、一般には野党側が民主派であるような見方がされていますが、それに疑問を唱える記事もあります (参照:田中宇 - ウクライナ民主主義の戦いのウソ)。

毎日新聞の記事では毒性についての言及がありますが、いくつかある専門家のコメントの中では、常石敬一教授のコメントの後半がいちばんまっとうでしょう。
会食後に容体が急変したというのは、症状が出るのが早過ぎる。血液から通常の約1000倍の濃度のダイオキシンが検出されたというのも、第三者機関が調べた生のデータが出てこないと何を基準にしているのか判断しがたい

ダイオキシンに関する資料をいくつか挙げておきます。

・たらこの部屋 - ダイオキシン
・井出よしひろ 茨城県政情報 - 「ダイオキシン・神話の終焉」を読む
・市民のための環境学ガイド - 文藝春秋「ダイオキシン猛毒説の虚構」論
・はてな ダイオキシンがなんだかご存じですか?

急性毒性がないということと、人間に害がないということとはまた別のことですから、わたしはダイオキシンが無害だというつもりはありません。ただ、世間で思われているほどではないことは事実でしょう。問題なのは、ヒステリックなダイオキシン糾弾の動きのあり方であって、ダイオキシンを規制することには賛成です。この件に関しては、基本的に市民のための環境学ガイドの「大妻女子大被服学科3年生諸君への手紙」で書かれている安井至氏と同じような立場です。

このあたりは、劣化ウランの問題に通ずるところがありますね。劣化ウラン弾自身は、肯定できる兵器ではなく、1996年の国連の差別防止・少数者保護小委員会でも核兵器や化学兵器と並ぶ非人道兵器として挙げられているものです。しかし、ウランという言葉にヒステリックに反応し、放射能の脅威を煽るようなことを書く団体やウェブサイトが多いので、せっかくの活動の信頼性を損なう結果となってしまっているのが残念です。

Posted: 火 - 12月 14, 2004 at 02:09 AM               Hatena Bookmark



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