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あいのり募金だけでなく今週の月曜のフジテレビ「あいのり」見てましたが、アフリカの貧困や緑の革命のことを取り上げてましたね。ちょっとおかしいかな、という箇所もいくつかありましたが、あいのり視聴者は緑の革命なんて知らない人が多そうだから、よかったのではないかと思います。ただ、余計なお世話ですが、番組を見て視聴者の気持ちが向かう先がちょっと心配。
今回の番組を見て、心を動かされた人はまず「あいのり募金」に行くと思うのですが
(番組中でこれ見よがしに番組ホームページの
URL
表示していたし)、以前の記事
(「あいのり募金を考える」)に一度書きましたが、本当にその気持ちを役立てたかったらもう少し考えてほしいと思います。テレビ局に寄付するより、アフリカできちんと活動している
NGO
などに寄付する方が有効活用されうるだろうということはわかると思います。この記事の最後にアフリカで活動している
NGO
などへのリンクを張っておきますので、興味を持たれた方は参照して下さい。(久しぶりにあいのり募金のサイトを見たら、800万円を越えていてびっくりです。機会さえあれば多かれ少なかれ何かしたいと思っている人は多いのですね。)
「あいのり募金」が、通常の募金と違う所は、寄付して頂いたお金から経費を差し引かないで、100%現地の人々にお渡しできる、という点です。 あいのり募金のサイトでこんな記述を発見してびっくりなのですが、これって全くもって胸を張って言えるようなことではないですよね。要はただお金を渡しているだけ、ということですから。開き直らないでほしいです。お金を渡しただけで問題が解決すれば、とっくにいろいろな問題は解決しているし、本当に人件費やその他経費をかけずにうまくいくなら、NGO だってそうしたいにきまっているじゃないですか。NGO のスタッフなんて、手取り10万円台で、ボーナスも有給も厚生年金も健康保険もないとこがざらですよ。今回の番組自体はアフリカの抱える問題を取り上げていて、悪くないんですけどねぇ。 500円で小学生用の学用品セットが2人分買えます。 こんなことも書いていますが、じゃあ、500円渡せば、きちんと学用品に使われるのか。ちゃんとビタミン剤が購入されて、必要とされるこどもに、適切な分量が適切な用法で与えられるのか。あまり書くと揚げ足取りみたいなので、このあたりでやめておきますが、もう少しあいのり募金のありかたが考えられるのではないでしょうか。 このあたりで少し目線を変えて、緑の革命の話を書きます。 緑の革命に関しては、食料増産などに役立ったとする肯定的評価もありますが、わたしとしては結果的には負の側面の方が強かったと考えています。このページにある緑の革命についてのまとめが簡潔でわかりやすいでしょう。 緑の革命は1960年代から1970年代にか けて世界の食料生産に大きな影響を及ぼし、当初飢餓をなくすと言われていましたが、第三世界に導入されると、伝統的な農業と環境を破壊する事の一つの原因となり、飢餓や砂漠化の原因の一つとなったとする見方もあります。高収量品種はそれに適した農業基盤を必要と したために、当時後進的農業を営んでいた多くのアジア農家は、その恩恵に預かれませんでした。数十年 たった今日では、“緑の革命”は、持続可能ではない農業技術であったとして、多くの疑問の声があがっています。 何が「持続可能」でないかというと、以下、社団法人国際食料農業協会のページからの抜粋です。ここの説明では緑の革命について割と肯定的な書き方をしていますが、このページ自身からわかるように問題が十分に含まれているものだったのです。 緑の革命は基本的に、総体的に恵まれた地域において、高収量品種、かんがい設備、肥料、農薬また特に管理手法を組み入れた技術対策を適用することに依存している。 つまり、緑の革命の結果、伝統的な農業のやり方が難しくなってしまったのです。大量の水、大量の肥料、農薬、そして種は種子会社から買うことになります。農民は結局は借金をし、近代的農業に必要なものを企業から買い入れ、農民の稼いだお金はそうした企業や金融機関に消えていくという構図ができてしまったわけです。 その他、緑の革命に関するリンク ・EICネット [環境用語集:「緑の革命」] ・いまさら聞けない勉強室〜ゴールデンライス ・一橋大学経済学部水岡ゼミ・緑の革命 -- 「緑の革命」の始まりは、「赤の革命」に対抗するためのものであったという記述あり 日本でも種子や苗を農協から、つまりは種子会社から買うというのがすでに常識となっています。有機農業をやっている知り合いが自家採取した種から苗を育てていたら、それを見た村の人が「種から育ててるの」とびっくりしていました。普通の農家にとっては苗は農協から買うものになっているのです。 そうして農協から買った種や苗は F1 というハイブリッドの一代限りの品種となっています。そこから種を自家採取することは難しく、農家は毎年種子や苗を購入しなければいけません。日本人、いや世界の人が毎日食べている野菜、穀物の多くは、こうしたもはや農家が自分たちだけで栽培を続けていくことができない品種に置き換わっています。 遺伝子組み換え作物の話もこの延長線上にあるでしょう。遺伝子組み換え作物の安全性が不確かだということも問題なのですが、それよりわたしが問題だと思うのは、遺伝子組み換え作物が上に述べてきたような工業的作物生産を加速するものであるからです。知っている人には有名な話ですが、遺伝子組み換え作物を作っているのは、農薬会社や化学会社です。そして遺伝子組み換え作物を育てるには、それらの会社の作った農薬が必要になるのです。緑の革命の構図と何やら似ていますね。こういうのをマッチポンプと世間では言います。 以上の話は知っている人には退屈な話かもしれませんが、あいのりでたまたま出たので取り上げさせていただきました。バラエティ番組でありながら、こうしたことを取り上げる番組の姿勢はよいと思います。(シニカルに見れば、あいのりはお涙ちょうだい成長物語番組なので、同情心をそそるようなことを取り上げた方が視聴率アップにつながるという、極めて商業的な理由に基づくものかもしれませんが、意図はともかく結果的に役に立つのならいいのだと思います。) さて、最後になりましたが、アフリカ関係の NGO などへのリンクです。 ・NGOアリーナ (アフリカで活動する団体への寄付) アフリカ寄付パックとして、アフリカで活動する団体にまとめて寄付するものもあります。 ・社団法人アフリカ協会(ASJ) ・アフリカ日本協議会:アフリカで活動する日本のNGO (リンク集) ・Africa-Japan.com:サーチエンジン NPO・NGO・ボランティア活動 (リンク集) ■ 当ブログの関連記事 ・あいのり募金を考える ・あいのり募金その後 Posted: 火 - 11月 30, 2004 at 02:45 AM |
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親サイトの Travellers Inn は旅に関するサイトですが、ここ Travellers Tale では、旅にこだわらず興味のおもむいたことについて書いています。ちなみに Travellers Tale という言葉は、旅行記ではなく、旅人の見てきたようなほら話のことを意味しています。
筆者ハンドル:Hiro (ハンドルネームという言い方は正確には間違いですよ!慣用化しているので、こだわる必要はないかもしれませんが。) Trackback powered by
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