本ブログの更新は停止しています。更新は新しいサイトの Travellers Tales で行なっています。

チェチェンの悲しみ - 北オセチア共和国学校占拠事件


大本営発表を鵜呑みにしてこどもを人質に取って殺したチェチェンゲリラは非道な奴らだ、と思っている人は多いのではないでしょうか。

こうした事件を考えるに当たっては、情報ソースがどこなのかも意識しておく必要があると思います。イラク戦争報道の多くがアメリカ政府およびそれに従属するマスコミによるものであるのと同様、チェチェン問題に関してはロシア側からの報道がほぼ全てです。イラク戦争の場合、まだアラブ系のマスコミやフリージャーナリスト、国連機関など他の情報源もなくはないですが、チェチェンの場合、チェチェン側からの報道は皆無と言っていいでしょう。

ニューヨークの 911のテロも、アメリカが直接手を下していないだけでかなり自作自演の疑いが濃厚という話もありますが、この学校事件はそれに近いものを感じます。チェチェン独立派外務省は関与を否定し、事件を非難していますし、そもそもまともな交渉を考えるものが、子供を人質に取って立てこもることが有効な手段だと考えたとは思えません。チェチェン人の仕業とされる事件の多くも、ロシア秘密警察 FSB によるものだという証言もあります。
ベスランの学校占拠事件の実行犯がなにものかはまだ分からないが、97年から第二次チェチェン戦争勃発後に大流行した、チェチェンが関与したという誘拐、殺人などの犯罪に非常に似ていることに気がつく。今ではチェチェン最強の野戦司令官の一人ドク・ウマロフももともとはそういう、犯罪集団の一人だったという。

ロシア秘密警察FSBの元中佐で、ロンドンに亡命したリトビネンコ氏は、「この時期の犯罪で、チェチェン人が単独で敢行したものは一件もない。すべてはFSBが背後で支持していたのだ」と、語っている。
つまり、「チェチェン人によるテロ」の実態は、そういうものだった

詳しくはジャーナリスト常岡浩介氏の The Chicken Reports を読んで下さい。他にもいろいろ書いてあります。

上記サイトでも言及されていますが、日本のマスコミ報道の記事の中にも、丹念に追っていくと、ロシア側の工作を感じさせる記事もなくはないです。突入時の爆発にしてもロシア当局側が仕掛けた可能性がある旨の報道もありましたし、当局の情報操作疑惑や、この事件に関連しロシア政府を批判した新聞の編集局長が辞めさせられているとの報道もあります。

また、ロシア側の被害が報道される中で、無視され続けている、ロシア軍に蹂躙されるチェチェン人被害の実体があります。9月の Days Japan に載っているチェチェンの記事によれば、日常的なロシア軍による略奪・強姦だけでなく、チェチェンの人々を逮捕拷問し、死ねば遺体を遺族に売り、金を払えなければ遺棄する、といったことが平気で行われているのです。世界の中で黙殺されていく悲しみは誰が受け止められるのか。チェチェンだけでなく、世界中にそういった悲しみがあふれています。スーダン・ダルフール問題然り、喉元過ぎて忘れられかけているアフガン然り・・・。

チェチェン関連リンク:
チェチェン総合情報
シェルコの情報公開 (フリージャーナリスト常岡浩介氏サイト)

Posted: 火 - 9月 7, 2004 at 02:50 AM               Hatena Bookmark



©