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使用済み核燃料処理コストの資産を隠蔽?


今まで「ない」とされていた原発の使用済み核燃料処理費用が 94年にすでに試算されていたことが判明しました。

元ネタは東京新聞の記事など。
 原発から出る使用済み核燃料を地中深く直接埋めて捨てれば、再処理方式に比べて半分以下と大幅に安くなるとの政府試算がありながら、公表していなかったことが二日明らかになった。核燃料サイクル見直し論議が高まるのを政府が恐れたためとみられる。重要な情報開示を怠っていたことで、核燃サイクル政策の是非を検討する原子力委員会の議論にも影響を与えそうだ。
 試算は一九九四年と九八年に実施し、再処理方式が直接処分方式の二−四倍割高となる。当時の議論で電力会社側が「割高との試算が公表されると、サイクル事業が成り立たなくなる」などと主張。政府は、今年三月の国会でも「試算はない」と答弁していた。

隠していた可能性は限りなく高いでしょうね。政府や電力業界は、以前から原子力発電の本当のコストを隠そうとしていますから。

例えば、2003年11月に電気事業連合会が出した資料で、今まで公表されていたコストには使用済み燃料の処理などの費用が含まれていないことが明らかになりました。それまでのコストは嘘だったわけです。それら計上されていなかった 19兆円の費用を入れた計算で、キロワットあたり、原発 6.4円、天然ガス 6.4円、石炭火力 6.5円などです。この時点ですでに原発のコスト優位性は崩れてるわけですが、実際にはこんなものではなく、もっと高いはずです。この数字ですら、原発のコストは他の発電方法並みですよ、とごまかすために数字を無理矢理合わせたに違いありません。そもそも今の原発のコストは、原発に絶対事故が起こらない、という想定のもと計算がなされていますが、そのような架空の設定に基づいたコストが正しいコストであるはずがありません。通常のコスト計算では、リスクも含めたコスト計算がなされているものでしょう。このあたりのことは「巨額な原発のバックエンドコスト」などが詳しいです。

コストに目をつぶったとしても、エネルギー安全保障の観点から原発を推進する意見にも疑問です。エネルギーのことをいう前に、食料の自給率でも上げた方がいいでしょう。もはや現代では、様々な国がいろいろな分野で複雑に密接につながっており、この国際協調が当たり前の時代に国際的孤立を前提とするのは現実的ではないと思います。そもそも高速増殖炉によるエネルギーサイクルは破綻しているのですから、安全保障になっていません。以下、WWFジャパンのサイトより。
エネルギーの安全保障とならない原発

エネルギーの安全保障という問題がよくいわれますが、原発はエネルギーの安全保障を保証しません。ウランは石油・石炭・ガスなどの天然資源のうち、最も埋蔵量の少ない資源です。日本はウランを燃やすことによってできるプルトニウムを高速増殖炉で燃やすことで、初めてエネルギーの安全保障が確保されると考えてきましたが、これは安全性・経済性の両面から、実現不可能であることが判明し、世界のどの国もこの計画を放棄しました。これが実現しないとなった今、最も埋蔵量の少ないウランに頼るエネルギー政策は、安全保障を最も保証しない政策といえます。

今後のエネルギーのあり方としては、小規模分散型が望ましいし、そのように進んでいくと思います。コンピュータやネットワークの世界だって、昔は大きなワークステーションや専用ネットワークとかを動かしていたのが、今や小規模分散型です。グリッドコンピューティングやインターネットがいい例です。

ネパールの山の中ではしかたがないので、すでに小規模分散型の発電に実践している結構ありますね。小型水力発電とかソーラーパネルとか。実は時代を先取りしているのかもしれません。

Posted: 月 - 7月 5, 2004 at 02:53 AM               Hatena Bookmark



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