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この国の行く末


政府与党は自衛隊のイラク多国籍軍への参加に当たって、安保理決議の解釈を変えることで、自衛隊が多国籍軍の指揮下に入らず、独自の指揮権を持つとの見解を示しました。こんな今まで国内でやってきた解釈改憲みたいなことが、多国籍軍の中で通用するのでしょうか。

自衛隊が多国籍軍の指揮下に入らないとした根拠は以下のようなもの です。
指揮権について多国籍軍の根拠となる国連安保理の新決議に明記された「アンダー・ユニファイド・コマンド」の意味を、従来訳の「統一された指揮下」でなく、「統合された司令部」と解釈。自衛隊が多国籍軍の指揮下に入るとの見方を否定した。

憲法9条を解釈改憲でごまかしてきたことは国内問題だからなんとかなってきたことです。しかし、多国籍軍に参加するのですから、日本が自国だけで「この文章はこのような意味だと解釈する」と言っても、何の意味もないでしょう。こんなこと、世界で通用するとはとても思えません。「米英は了解済み」と言ってますが、怪しいものです。

現に、マクレラン米大統領報道官は15日の記者会見
小泉首相の「多国籍軍に参加しても、自衛隊の活動は日本国の指揮下に入り、日本の主体性をもって活動する」という説明について記者団から質問され、報道官は、各国軍隊は各自の指揮系統下におかれると説明した。

と述べていますが、各国軍隊は各自の指揮系統下におかれるのは当たり前で、このことは自衛隊が多国籍軍の指揮下に入らないことにはなりません。また、
「派遣先が戦闘地域になった場合、自衛隊が撤退することを米政府は了解しているのか」という質問に対しては、「申し訳ないが、質問の意味が分からない」と答えた。

とのことですが、平和ボケした日本人らしい質問を、報道官は理解できなかったのでしょう。多国籍軍に参加しておいて、「自分のいる地域が戦闘地域になりましたので帰ります」なんていうバカな話があるわけありません。多国籍軍で一緒に活動しているどこか他の国がそんなことを言ったら、その行動を許せるかどうか考えてみてください。

そして、報道官はダメ押しで、以下のようなことを言っています。後段が強調したいことですね。
さらに報道官は「ポーランド軍も英国軍もイタリア軍も、イラクで各国の指揮系統下に入っている」と述べ、「しかし、多国籍軍全体は米軍司令部によって監督されている」と強調した。

今まで述べてきたことの繰り返しになりますが、各軍隊がその国の指揮系統下にあるのは当然ですが、全体としては米軍の指揮下にあると言っているわけです。これでよく「自衛隊は独自の指揮権」とか言えるものです。

そもそも、このような国策に関わる判断を、手先の解釈の変更で乗り切ろうとする政府に、私は非常に不安を覚えます。このような政府ではこの国の行く末はどうなっていくのでしょうか・・・。

Posted: 木 - 6月 17, 2004 at 01:36 AM               Hatena Bookmark



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